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鴻上 尚史・作「僕たちの好きだった革命 」感想 ネタバレ注意

公開日: : 書評記事

浦島太郎をはじめとして、過去に行ったり未来に行ったり、タイムスリップ物は星の数ほどありますが、未来を書くなら何もタイムマシンなんて必要ないですよね。
相対性理論によれば未来にはいつでも行けるらしいし、インドネシアのジャングルで何十年も潜伏していた日本軍兵士が帰国した、とかでもタイムスリップしたのとなんら変わらない展開が書けるのです。
この作品では三十年間意識不明だった学生運動家の高校生が現代の学校に復帰するという話で、当時の友達や社会の変化に驚くわけです。
で、ガチガチの学生運動家だった主人公は周りの生徒に異様な目で見られながら、学生運動を今の高校生たちに持ち込むわけです。あまりの過激ぶりに教師たちからは文化祭の中止という厳しい措置をとられますが、生徒たちや人気ラッパーまで巻き込んで自主文化祭を敢行するのです。
現実の学生運動は内ゲバなどで迷走していったわけですが、主人公の掲げる理想というのはあくまで「自由」と単純明快です。僕は知らないのですが、初期の学生運動ってそんな感じだったのでしょうか。
僕は学生運動に共感をしたことがないのですが、当時の青少年なりに情熱を持っていたことは理解できました。そしてビートルズが不良が歌うような歌だった、なんて言われていた時代だったわけで、ある意味住民権を勝ち取ったといえるのかもしれません。
しかしこの小説は最後にあっけないラストを迎えます。そのあっけなさが、情熱に先がなかったことを暗示しているようでなりません。
半年だけ通った大学時代。小汚い格好にハチマキをつけて校内を回っていた老人のことを思い出しました。今、彼は何と戦っているのでしょう。

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